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「み・や・こ・さん!」
登校途中、聴きなれた声に振り返る。
そこにいたのは、私より学年が1つ下にもかかわらず、私よりずっと冷静な判断を下せるヒカリちゃんだった。
彼女なら、あの場合どう対処したのだろう?
今となっては後の祭りだけど・・・
「おはよう、ヒカリちゃん」
私は、毎度の事だけど、愛想無く答えた。
普段の私とは対照的で、我ながら何て分かりやすい性格なんだと、嘲笑じみてしまう。
「どうしたんですかぁ、元気ないですよ?」
当然といえば当然で、案の定私の素っ気無い態度に反応を示した。
「別にぃ。岳君と仲のい〜い、ヒカリちゃんには関係ない話しよ」
ちょっと意地悪をしたくなったというのが、本音。
お互いが近所に暮らし、毎日毎日一緒の学校、同じクラス。
挙句にお兄様同士仲がいいだけあって、その弟・妹もまた然りって具合に。
この二人は端から見てもお似合いだ。
話も合うらしく、よく二人でいるところを見かける。
そんな、私達とは対照的な二人に、嫉妬してしまったなんて、口が裂けたって言えるものですか。
「そんなこと言っていいんですか?
一乗寺さんに言っちゃいますよ?
『京さんが不貞腐れてますよ〜』って」
ヒカリちゃんは知ってか知らずか、ズバリ痛いところを突いてくる。
彼女の、こういう間の悪さには、どこか計画犯としか思えないところがある。
「何が言いたいのよ?」
「嫌だ京さん、そんな恐い顔しないで下さいよ」
彼女の言う通り、私は少し顔が引き攣っていたのかも知れない。
昨夜は散々泣き尽くしたので顔の感覚が麻痺しているのだけど、
悲しい事に、雰囲気で感じてしまう辺り、私も可愛くないな、と思ってしまう。
そんな彼女の表情はというと、いつも通りのニコニコ笑顔で、一体この顔の裏に何を隠してるんだか。
いつもの事ながら、ある意味尊敬の念すら覚えてしまう。
「昨夜岳君から電話がありましたよ。」
「のろけ話なんかに興味は無いんですけど」
相変わらずの口調で、勝手に話を始める彼女に、間髪を入れず、
私はこれ以上無いんじゃないかって位、生気の無い返事を返した。
「最後まで聞いてくださいよぉ!!」
ヒカリちゃんは正直少し困った顔をしていた。
まぁ最初に彼女に会った時点で分かってはいたけど、
そこで大体の事が読めた。
そうすると、否が応でも聞いてたまるかって、逆に意地になってしまうのも、私の悪い癖で。
「聞く耳無し〜」
私は耳を塞いで、ヒカリちゃんを置いてそそくさと歩き出した。
ヒカリちゃんは呆れたように、私の後を追いかけてきて、
「こっちの身にもなってくださいよ」
と。こっちが本音なんだろう。
正直、“彼女達”には、相変わらず迷惑を掛けてるなぁ、と他人事の様に感じていた。
つまりはこういう事。
昨夜の電話の内容というのが、昨日の出来事で、その根本的主は賢君・・・なんだろう。
いつもの事で、聞かなくても大体想像はつく。
いつも喧嘩すると、必ず岳君のところに連絡が入り、ヒカリちゃんを通して、賢君の弁解が、私の元に届けられる。
直接電話でもなんでもすればいいのに。
って、それを出来なくしたのは私だっけ。
賢君は、初めて喧嘩をした日の晩に電話をくれたけど、私は頑として電話に出なかった。
それで、喧嘩の度に彼女達のお世話になるという訳だ。
相変わらず、私は賢君に、そして岳君やヒカリちゃんまで迷惑を掛けているなぁ。
そんなやりとりをしつつ、私達は校門をくぐり抜け、昇降口へと足を進めていた。
「おはようございます、京さん」
学年が違うお陰で、昇降口で漸くヒカリちゃんから開放されたかと思うと、
待ち構えていたとばかりに、今度は岳君に捕まってしまった。
彼もまた最高の微笑を私に投げ、私の下駄箱の傍に立っていた。
「・・・暇人」
私は挨拶もしないで、代わりに暴言を浴びせ、
彼を一瞥して、上履きへと履き替えた。
「そんな態度だから・・・」
岳君は大袈裟に肩を竦めながら、立ち上がった私に、まるで説教するかの如く言った。
「大きなお世話よ」
「そんな事言わないで下さいよぉ」
彼の代わりに返事をしたのは、漸く追いついたヒカリちゃんだった。
岳君の後ろから覗き込む彼女と対比させると、彼はまた一段と身長が伸びた様に感じられる。
それが、一層私を不機嫌にした。
「はいはい、見せつけはいいからさっさと教室に行きなさいよ」
私は、並んでいた二人の間を割って、そのまま自分の教室へと、逃げるように足を進めた。
二人が並ぶと、妙に羨ましくて仕方ない。
最高にお似合いって、大輔には悪いけど、そう思えるのは私だけではない筈だ。
私達があまり並ぶ事が無い、って言うのも一つの理由だけど、
本当に釣り合ってるのかどうか、
端から見たら、私が一方的に賢君を引きずり回している、
そんな風に映っているんじゃないかと思うと、結構切なくなる。
だから・・・
劣等感を常に感じている。
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