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      「光子郎君?」

      絶句したまま放心状態の光子郎の目の前に手を翳しひらひらさせたミミは、しばらく同じ動くを繰り返していたが光子郎が意識を取り戻すどころか、全く効果の無いことに痺れを切らし、光子郎の耳元で

      「こ・う・し・ろ・う・く・んっ!」

      と大声で叫んだ。

      流石にその大音量に光子郎も我に返り、驚いた表情でミミに向き直った。

      「な、何するんですか」

      ミミの大声を受けた耳を押さえながら抗議する光子郎だが、まだ目は泳いだままだった。

      「んもう、話し聞いてた?もしかしてまたパソコンに夢中になりすぎて聞いてなかったとか言わないよね?」

      嘗てそういった経験を持ち、挙句大変な目に合わされたミミは、光子郎の性格上それは有り得ると思い、また、光子郎が止まったのはパソコン関係のことだろうと考えたのだが、当の光子郎から返ってきた言葉は、全く逆のものだった。

      「聞いていましたよ」

      さっきまでパソコンのディスプレイに釘付けだった視線をまっすぐとミミに向け、光子郎は応えた。

      「…だったら」

      あまりにまっすぐ見つめられ、光子郎のそんな行動になれていなかったミミは、逆に絶句してしまった。

      「ミミさんが突拍子も無いことを言うものですから少し吃驚してしまっただけです。一体どこからそんな話が出てきたのですか?」

      再びディスプレイに向き直ると、光子郎は何事も無かったかのように、またカタカタと軽快な音を奏で始め、「まぁ、ミミさんが突拍子も無いのはいつもの事ですが」
      と付け加えた。

      「何よそれ」

      膝の上に乗せ握り締めていた小さな拳をわなわなと震わせながら、ミミは光子郎をねめつけた。

      「別に。そのままの意味ですけど?」

      ミミが睨んでいる事を知ってかしらずか、振り返りもせずに光子郎はデータ入力を続けている。

      「じゃあ何?私がアイドルになることは、光子郎君にとってどうでもいいことなの?」

      一際きつく掌を握ると、ミミは語調を荒く問いかけた。

      「別にそんな事言っていないでしょう。だから、それが突拍子も無いって言ってるんです」

      振り返ったわけではないが、手に取るようにミミの様子が容易に想像出来る光子郎は、そう言って嘆息した。

      しかし、それがミミを逆上させる事になる事までは、想定していなかった。

      「いいわよ!もう光子郎君なんて知らない!」

      がたん、と派手に椅子を倒す勢いで立ち上がると、ミミは倒れ掛かった椅子を元に戻すことなく、教室から出て行ってしまった。

      ぴしゃりと閉じられた扉から人影が消える頃合になって、漸く光子郎の手が止まった。

      溜まっていた気持ちを吐き出すかのように、ふぅと長く息を吐くと、ぎしりと音を立てて背凭れに寄りかかって天井を仰いだ。

      (一体、何があったっていうんだ?)








    ***


      ええと…取り敢えず2ヶ月毎更新か、これゎ(滝汗)
      しかもきっちり2ヶ月だし…
      って、状態になってます。
      これじゃあ不味いだろって事で、取り敢えずその後の二人を更新。
      まだまだ本題に入れない。
      そうこうしている内に夏終わっちゃった((((゜Д゜≡゜Д゜))))

      こんなんでも、光ミミ好きー様に喜んでいただければと思って書いているけれども、
      本当にこれでもいいですか?



                       8 Nov 2005 MumuIbuki





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