エド・アルは生身です。 原作は軽くスルーの方向で。 (人体練成とかその辺) 以上に嫌悪感を抱かれる方はブラウンザでお戻りください。 大丈夫!と言う方は下へスクロールでご覧ください。 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ APXN 2 地の底から鳴り響いたのではないかと思える程の絶叫は、手元で轟音を轟かせ作業していたウィンリィの耳元にも届いた。 しかし、ウィンリィは驚きもせず、手にしていた工具のスイッチを切ると、その絶叫がした部屋へと向かっていった。
全てを知っているかのように、ドアに凭れて中の様子を窺うウィンリィ。 部屋の中には、姿見の前でワナワナと震えている幼児が一人。 「一体何なんだよ、これは!」 歯を剥き出しに威嚇しているつもりなのだろうが、キーの高くなった可愛らしい声で言われてもあまりどころか全然怒っている様には見えない。 寧ろ…思わず頭を撫でたくなる衝動に駆られるのが、乙女の心理であろう。 「何かあった?」 それでもしらばっくれるウィンリィに痺れを切らし、エドワードはぺたぺたと可愛らしい足音を立てて、ウィンリィの許へ寄ってきた。 その仕草が可愛いと、ウィンリィは内心で呟いた。 「何があったじゃないだろう!何だよこの体!ちっさくなっちまってるじゃないか!テメェ何したんだよ」 「あら小さいのは生まれつきでしょ」 火に油を注ぐことは承知の上でさらりとウィンリィは言った。 猿の様にキーキー泣き喚くエドワードは、まるで玩具屋で駄々をこねる子どものように見える。 「だーかーらー、あの紅茶!あれになんか仕込んでたんだろう!」 「あら流石、ちっさくなってもエドはエドね」 「ちっさいゆぅなー」 体が小さくなってしまった所為か、どこか言葉もたどたどしくなっている。 「ご名答。まさにその通り、あの紅茶が原因よ」 笑顔でこうもあっさりネタ晴らしされると、思わず脱力してしまうエドワードだったが、気を取り直して、紅茶に何したんだよ、と食って掛かる。 「薬を混ぜたの」 「くすり?」 「そう、薬」 鸚鵡返しに答えるウィンリィの眉根を寄せるエドワード。小さくなっても仕草までは変わらないようだ。 「何の薬だよ」 「APXNって言うのかなぁ、元のは」 「…それどっかで聞いたことある…」 「うんまぁ、一部では有名だしね」 「…おい」 思わず疑わしい目つきで睨みつけるエドワードだが、それも無理のない話である。 「…元のってのは?」 「まさか本物がここにある筈ないでしょ?」 「そりゃそうだ」 「だから自分で作ったのよ、これでも医者の娘ですからね」 「ってお前、外科医だろ!」 「細かいこと気にしない、だからちっさくなっちゃうのよ」 「細かくないし、ちっさいゆうな!って言うかお前がちっさくしたんだろうよ!!」 三つもツッコミさせられて、息が上がったエドワードを、クツクツと喉を鳴らして笑うウィンリィ。 「早くもとに戻せよ」 先程までの叫び声からワントーン落とした声だったが、体のサイズに合わせてそれでも十分キーの高い声だった。 「あらそれは無理じゃない?」 「何でだよ!」 懇願するように、両の掌を握り締めて、見上げる仕草が可愛らしい。 「だって、エドも知っているでしょう。原作もまだ元に戻る方法が見つけられていないって」 にっこり微笑むウィンリィ。 ペタリと床に座り込み、エドワードは視線を彷徨わせる。 「腐っても医者の娘なんだろう、何とかしろよ」 それでも焔の点いた瞳は揺らぐことがなく、まっすぐと見つめ返してくる。 「あら、私外科医だもの」 腰を屈めて、座り込んだエドワードと視線を合わせ、ウィンリィは寝癖で跳ね返っているエドワードの髪を手櫛で梳いていく。 まるで、幼子をあやす様に。 聞いたことのあるような科白を返されると、エドワードはそれ以上何も言えなかった。 「白乾児でも飲めば、一時的にでも元に戻れるわよ。と言ってもそんなお酒ここにはないけれどもね」 爽やかに言ってはいるが、その言葉は実に毒々しい。とエドワードは自分よりうんと大きくなってしまった諸悪の根源を睨み返すことしか出来なかった。 「あれー兄さん可愛い〜」 小さい頃の服を担いできた弟のアルフォンスの第一声はこれだった。 「でしょでしょー」 相槌を打つウィンリィも実に楽しそうだ。 まるで自分は着せ替え人形であるかのように、服を選ぶだす二人を、冷ややかな目で見るエドワード。 謀られた、と思った。 道理で家を出る時、どこを探してもアルフォンスが見当たらないわけだ。 二人して仕組んだことなんだと、当の本人たちの楽しそうな様子を見ていれば一目瞭然だ。 「やっぱ眼鏡に蝶ネクタイ?」 アルフォンスが、明らかにエドワードの幼い頃着た服ではない、見覚えのない上下組の服を取り出す。一体どこから仕入れてきたのか、実に準備が良過ぎはしないか。 「えーそれじゃあからさまだし、可愛げがないわ」 一体何を追及しているのか、ファンが聞いたら殴られそうな科白をサラリト吐くウィンリィ。 「やっぱり一度はワンピースを着せたいわ!」 力一杯力説する割りに、論点が支離滅裂だ。って言うか、その裾のひらひらした趣味の悪そうな服をオレに着ろってか? あまりの恐ろしさに、二人が夢中になっている隙を見て逃げ出そうとしたエドワードだったが、二人ががっしりと肩を掴み、離して貰えなかった。
続編…です。 このネタ、殆ど『外科医だろ』の件が書きたくて書いたに等しいです。 パラレルでギャグ。 書いてて楽しかったですー♪
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