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FireFlower
「ねぇ、花火でもしない?」
久し振りにエドとアルが故郷であるここ、リゼンブールに帰ってきた。
今回は機械鎧の故障とかじゃなくて、単純に近くに寄ったから
と言う理由らしく、いつもの慌しさが無い分、
私ものんびり彼等兄弟と、久々の時間を共有できた。
だからと言う訳ではないのだけれど、
何か面白いものはないかと納戸を探索したところ花火が出てきた。
と言う次第である。
私は早速その花火を片手に、
我が愛犬であり優秀なボディーガードでもあるデンを
枕代わりに寝そべっている間抜け顔のエドと
それを窘めつつ、デンの手をとって遊んでいるアルのいる
居間へ入っていった。
彼等はすっかり寛いでいる。
だからと言う理由か、
はたまたこの年齢にもなって花火で興じる事に
抵抗を感じるのか、
エドはあからさまに面倒臭そうな顔を浮かべていた。
「アンタはいいわよ。ねぇアル、やろうよ!」
折角の楽しい気分が害されるのは不本意なので、
エドが何か言うより先に、
私はわざとらしい顔を作ってエドに吐き棄て、
それとは対照的な笑顔を振り撒いて改めてアルを誘った。
「誰もやらねぇとは言ってないだろ」
まったく、といった素振りを見せながら
デンから起き上がると、エドは頭を掻きながら
言い訳を言う子どもの様に言った。
私は、エドがこういう態度に出ることを知っていて、
だから敢えて言ったのだった。
それを知ってか、アルも嬉しそうに
―と言っても鎧の姿であるアルの表情は実際には見えないのだけど、
何故か私には笑っているアルが容易に想像できた―
私と兄であるエドを眺めていた。
暗くなるのを待って、私達は表に出た。
田舎だけあって、辺りは夜になると殆ど暗闇同然だ。
遠くの方に、隣の家の明かりが見える程度で、
見上げれば満天の星空。
―――この星だけは、ずっと変わらない。
そう思って見上げていたら、エドに呼ばれて、
私は、いつの間にか随分先にいるエドとアルの側まで駆けて行った。
「何もこんなに離れてやること無いじゃない」
後ろを振り返ると、出てきたばかりの私の家の灯かりが、
辺りの家と変わらないくらいの光量になっていた。
「何だよ、花火がやりたいって言ったのはウィンリィだろ?」
変なところを拘るエドは、少しでも暗い方が雰囲気が出るのだと
熱弁を振るって、この辺が良いだろうと、漸くバケツを下ろした。
花火の包みを乱暴に開け、中身を取り出して
エドは適当にアルと私に花火を寄越した。
そして、手招きして私からマッチを受け取ると
蝋燭に火を灯した。
「ここに大佐がいると楽なのにね」
アルが、いつだか二人を訪ねてきた人のことを言う。
それを聞いてエドは、えー要らないよ、あんな無能、と
嫌そうな顔をしていたが、
私はそれ以上何もいえなかった。
いざ、蝋燭の火から花火に着火させようとすると、
ブスブスと変な音を立てるものの、一向に美しい花を咲かせない。
おかしいなぁと、エドが何度も花火を変えて挑戦するも
どれも同じような結果だった。
「ウィンリィ、これ去年のじゃ…」
アルが、恐る恐る、と言うように花火の包みの裏面の
エドが乱暴に切り裂いた切れ端を繋ぎ合わせて掲げる。
エドが、まったく、といった表情で肩を竦ませると
私が握っていた花火を持ち上げてさせて両手を合わせて叩いた。
「今錬金術で分解して、水分を飛ばすから」
多分エドは、私が花火をやりたかったから誘ったのだと
そう思ったのだろう。
でも私は、
「ううん、いい」
そう言って、腰をおろすと、
花火を下ろして点かない事は分かっていても、
次から次に湿気た花火に火を点けていった。
どうしてなのかは、私には知ることは出来ない。
けれど、何かを感じたのだろう、
エドとアルは、私と同じように、
火の点かない花火を蝋燭の炎に翳すのだった。
譬え姿を変えようとも、
それは私の愛するものと
何ら変わらないのだから
姿を変えても
私は愛し続けます。
***
多分ウィンリィは、湿気た花火に兄弟を重ね合わせたんだと思います。
だから、花火を錬金術で元に戻す事は容易いけど、
兄弟はどうなるのか
とか
本当に戻るのか
とか
不安に感じたんだと思います。
果たして用も無く兄弟が帰郷するかは突っ込まないで下さいね(汗)
Jun.29.2005 MumuIbuki
ブラウンザでお戻り下さい
女の子
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