くるくると両の尻尾を揺らしながら、まるで絵本の中から抜け出したような金髪の女の子が、両親に手を引かれながら通りを歩いている。穏やかな昼下がり。実に微笑ましい光景。 目の前の光景を表現するならば、まさにそんな構図だ。 しかしテストでそんな答えを書いたならば確実に零点を頂戴するに違いない。(そもそもそんな問題が出題されるか甚だ疑問だが) 何故ならば、ツインテールの少女は実際には少年であり、実年齢は手を引く男女と変わらず、その男女にしたって両親では決して無い。寧ろ言うならばこの呪いたくもなるような状況を楽しげに作った諸悪の根源だからだ。言うならば誘拐犯か?などとエドワードが思いたくなるのも仕方の無いことで、あれからウィンリィにツインテールを結わえられた後、何処からか知らないがアイロンを持ち出し、髪を縦ロールに巻いていった。縦ロールの付け根では可愛らしいウサギさんが、当のエドワードとは反対に笑顔を振りまいている。逃げようと何度も思った。しかし、誰もが羨む幸せそうな家族の構図は見た目だけで、両手はしっかりと、まるで手錠のように、逃がしてなるものかという意図がそこから伝わってくるくらいきつく握られている。(一体こいつ等は何をしたいのか) エドワードが何度目になるか分からない深い溜息を吐くと、その反動で縦ロールがふわふわと上下に揺れた。