wrist 「遅っいぞー早くしろ、エドー」 憎まれ口を叩きながらも、キラキラと瞳を輝かせた満面の笑みを湛えたウィンリィが、後からついてくるエドワードに手招きをする。 そんな幼馴染の様子に、エドワードはやれやれといった様子で渋々後についてくる。
倒れる、っとウィンリィが身構えた瞬間、追いついたエドワードは咄嗟にウィンリィの手首を掴み、間一髪のところで彼女の体を支えた。 「っとぉ、ありがとう」 ふらついた足を立て直し、エドワードを振り返ったウィンリィは怪訝そうな表情を浮かべる。 「どうしたの?」 立ち上がりざま、覗き込んだエドワードの瞳には困惑の色が交錯していたのだ。 「い、いや、なんでも…」 まだ言い終わらないエドワードを不思議に思いつつも、ウィンリィは立ち上がると、 「ところで、いつまで握ってるの?」 と、手首をエドワードが見えるように掲げた。 「わぁっ、あ」 支えてくれた時とは裏腹に乱暴に振り払われ、自由になった手首を摩りながら、 「変なの?」 と言ったウィンリィの言葉は、最早エドワードの耳に届くことは無かった。
(あんなに細かったっけ、ウィンリィの手って)
エドが出したては左手です、念の為。 幼馴染が女だと理解した瞬間… みたいな?(逃) 4.Nov.05 息吹・拝
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