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HALLOWEEN
茜が碧をじわりじわりと侵食しだし、空の境目のグラデーションが増してきた。
部屋の中に差してくる陽光も徐々に明るさを失いつつある。
普段は現場に連れていってくれたり、清麿の家に預けていったりとするのだけれども、
今日の仕事は朝が早く私が起きられず、その代わり帰りが早いからと、久振りのお留守番で、
私は今、恵の帰りと太陽が沈むのとどちらが早いか競争しながら、恵の帰りを今か今かと待っていた。
太陽が部屋の明るさを奪いながらその姿を半分くらい隠した頃、玄関のチャイムが鳴った。
私はへばりついていた窓から飛び退き、恵が入ってくる前に早く迎えてあげようと玄関に向かって駆け出した。
しかし、恵ならすぐに鍵を開けて入ってくるのに一向に鍵を回す音が聞こえてこない。
訝しく思いながら恐る恐るドアを開けると、私の背丈にあわせて屈んでいる恵の満面の笑みがあって
「Trick or Treat!」
と言ってウィンクをした。
さっぱり状況の分からない私は、ただ目をぱちくりさせていて、それを見ていた恵はより一層微笑みを増した。
「ハロウィンって言って西洋のお祭りみたいなものかしら?」
リビングに戻り荷物を置き、電気も点けないで、と言って
明かりを点けると話を戻して玄関での第一声の意味を教えてくれた。
「『Trick or Treat!』って言うのは『お菓子くれないと悪戯しちゃうぞ』って意味で、
ハロウィンになると仮装して回るのよ」
恵はニコニコしながらサイドテーブルにおいてあった飴玉の入っているポットを手に取ると
「Trick or Treat!」
と言ってポットを差し出した。
私は今一飲み込めずにいたが、恵みが差し出すポットに手を突っ込み、飴玉を拾うと恵に差し出した。
恵は嬉しそうに飴玉を頬張ると、今度は私の番と言って急かせた。
「と、とりっく あ とりーとぉ?」
恵と比べると明らかに発音は悪いが、見上げるように呟くと、恵は満足したのか、
ポットから私が一番好きな飴玉を拾い上げるとそのまま口へと運んでくれて、
その手で頭を撫でてくれた。
「ハロウィンは10月の末日だから、その日には仮装もしちゃおっか!」
楽しそうに微笑う恵を見ていると、私まで楽しくなってきて、
わけも分からないくせに思わず
「うん!」
と最上の笑顔が零れた。
OMAKE
「う、うぬぅぅ」
難しい顔をしたガッシュの前で再度繰り返す。
「だから、Trick or Treat!だってば!」
あれから恵に綺麗な発音を教えてもらい、早速ガッシュを実験台にする為に清麿の家を訪ねて来たのだけれども、
肝心の清麿は不在だった。
仕方無しにガッシュを相手にしているのだけれども、全く噛み合わなくて半ば途方に暮れている。
「だから何なのだ、それは!」
瞳一杯に不服そうな色を濃くしながら、それでも抵抗する事が怖いのか、手をばたつかせながらガッシュは訴えている。
「え、清麿に教えてもらわなかったの?」
私はてっきり、清麿も恵と同じようにガッシュにハロウィンのことを教えているとばかり思っていた。
「う、うぬぅ。何なのだ、はろうぃんとは?
清麿は最近クラスの友達とパーティーをすると言って全然構ってはくれないのだ」
あぁ、成程、と納得してしまった。
「仕方ないわねぇガッシュ。じゃあ私が教えてあげましょうか?」
うぉぉ、と一転目を輝かせながら聞き入るガッシュに、恵から教えてもらった事を一生懸命四苦八苦しながらガッシュに教授した。
「・・・」
「・・・これで分かったわよね?」
恵みの様に要領よくは教えられず、相当回りくどくはなってしまったものの、なんとか根幹部分は教えられた筈と思い、再度言ってみる。
「じゃあガッシュ、もう一度。
Trick or Treat!」
恵みの様に格好良くは言えなかったかもしれないけれど、精一杯恵っぽく、腰に手を当てて言ってみた。
「・・・」
「・・・」
暫くガッシュからの返答はなく、腰に手を当てたままの間抜けな姿で返事を待っていたが、
やっぱり恵みの様にちゃんと伝えられなかったからかと内心焦ってしまった。
「・・・やっぱりお菓子は私が食べたいのだ」
予想外の返答と、そもそもの趣旨を語ってるんだか分かっていないんだか、
兎に角馬鹿にされたような気が沸々としてきて、
心配した私が阿呆みたいで。
「グァ―――――――――――――――――ッシュ!!!」
思わずガッシュの首を絞めていた。
***
『金色のガッシュ!!』でティオ+恵(ティオ+ガッシュ)でハロウィンネタでした。
いつかは季節ネタとしてハロウィンを絶対書きたいと思っていたのだけれども、
主要ジャンルじゃなくてどうしてその他版権で書き始めてしまったのか。
そもそもハロウィンって馴染みがない
(昔通っていた英会話教室でやった程度だ)
から
書き難くって。
何とかガッシュ(親子)なら書けそうだなと思って頑張ってみました。
清麿も、ガッシュと親子設定が悦なんですけれども、こんな接し方の清麿+ガッシュも好きです。
恵+ティオは従来通り。
※そして相変わらずネーミングセンス皆無です。
11.Oct.2005 IBUKI MUMU
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