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その日はとうとう、ミミとは一言も会話をせずに終わった。
部活を終えた光子郎は、支度を整え、帰路に着こうとしていた。
(どうしよう・・・)
光子郎は今まで、自分にはバレンタインディは無縁だと思っていた。
しかし、今日一日を過ごし、こんなにもチョコをもらえるとは思ってはいなかったのだ。
(こんなに持って帰れるのか・・・)
光子郎が一人悩んでいると、突然教室のドアが開いた。
光子郎が振り返ると、そこにはミミが立っていた。
普段なら話し掛けてくるミミは、一言も口を利かずに、帰りの支度を始めた。
その事が余計に教室を気まずい空間へと変えていった。
光子郎は出来れば早くその場から立ち去りたかった。
しかし、目の前にあるチョコの山を何とかしなければ、その場から動けなかった。
「それ、全部光子郎君が貰ったの?」
重い空気を払拭するかのように、光子郎の席に近づいて来たミミが漸く話し始めた。
「・・・はい」
光子郎は少し躊躇いがちに、間を空けて答えた。
「光子郎君ってモテルんだね」
そう言うミミの声は少し寂しそうに感じられた。
「そんなことないですよ」
光子郎は、そのチョコをカバンに詰めながら、ミミを見ようともせずに言った。
「そんな事ないよぉ。だって、ほらカバンに入りきらないくらい貰ってるじゃない」
カバンと悪戦苦闘する光子郎を見ながら、ミミは嬉しそうに言った。 「・・・」
カバンに入れる事を諦めたのか、光子郎は何か代用できるものは無いか、辺りをキョロキョロし始めた。
「ねぇ、これ使う?」
その様子を見て、ミミは自分の席へ戻り、ゴソゴソと何かをすると、大きな紙袋をかざした翳した。
それはミミがチョコを持ってきた紙袋だった。
光子郎は、ミミの無神経な行動に、少しの怒りを覚えた。
しかし、それを表現することなく、ミミの申し出を断り、また代用物を探し出した。
ミミはその間、ずっと光子郎の様子を見ていた。
その事が光子郎を余計に刺激していた。
しかし、いくら探そうとも、使えそうなものは見つからなかった。
仕方なく、光子郎はミミの申し出を受ける事にした。
「すみませんミミさん、その紙袋を貸して頂けないでしょうか?」
その声は、ミミへの怒りの為、いつもとは明らかに違っていた。
ミミは少し躊躇うと、黙ってその紙袋を差し出した。
光子郎がそれを受け取ると、空っぽの筈の袋に少しの重みを感じた。
光子郎は不思議そうな顔をしながら、その袋を開けてみた。
するとそこには一つの包み紙がちょこんと申し訳なさそうに置いてあった。
光子郎はそれを持ち上げ、じっとそれを見詰めた。
「・・・これは?」
そして、思い出したようにミミを見て漸く口を開いた。
「・・・チョコ」
俯きかげんのミミは、上目遣いに光子郎を見上げながら答えた。
「それは分かりますが・・・」
光子郎の持つチョコは、ミミが他の男の子達に配っていたものとは明らかに、大きさもラッピングも異なっていた。
「だって、なかなか渡せるタイミング無かったんだもん」
「いえ、そう言うことはでなくて」
光子郎の声は少し慌てた感じがした。
「私の気持ちだもん」
小さな声で、ミミは呟くように言った。
光子郎は空になった紙袋にチョコを詰め、ミミに差し出した。
「僕にはミミさんからのチョコで十分ですから」
不思議そうな顔をするミミに向かって、光子郎恥ずかしそうに言った。
「でも、その子達だって、光子郎君の事を想って渡したんだよ!」
ミミは、光子郎の想像とは裏腹に声を荒げていった。
「すっすいません・・・」
ミミの勢いに負け、後ずさり気味に答えた。
「でも・・・」
そう言うと光子郎は手に持った紙袋に目をやった。
このチョコをどうしたらいいか、光子郎には分からなかった。
ミミのチョコを貰っておきながら、他の女の子から受け取ってしまったら、ミミを傷付けると思ったからだ。
「私は光子郎君の気持ちだけで十分だもん」
しかし、ミミはにっこりと微笑みかけた。
その笑顔に光子郎は真っ赤になってしまった。
「じゃ、じゃあ帰りましょうか?」
そして、それを隠すように後ろを向き、ミミを促した。
ミミは微笑みながら、光子郎に従った。
暫くの間気まずい雰囲気があった二人は、久し振りに一緒に帰った。
紙袋の一番上に、ミミから貰ったチョコを入れ、二人並んで歩いていた。
確かにそこには、いつもとは違う空気が流れていた。
「背、伸びたね」
別れ際に、ミミがそう言うと、自宅の方へ走って行ってしまった。
***
同人始めて結構経つけど、始めて光ミミ書きました!
1番好きなCPなのに・・・
今回こうして書くことが出来てよかったです♪
光子郎、書きにくいよ・・・頭抱えちゃったよ(実話)
口数少なくしちゃったから、もうどう表現したらいいか・・・
でも、これを機に、チョコチョコ光ミミ書いていけたらいいなぁ。
管理人:夢萌
ブラウンザでお戻りください
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