TextAD
無料
-
出会い
-
花
-
キャッシング
-
アクセス解析
バレンタインディ当日、登校途中から、イベントは始まっていた。
至るところでチョコを渡す女の子、チョコを心待ちにしている男の子がいた。
先日あんなことを言っておきながら、やっぱり光子郎には渡しているところを見られたくないと思ったミミは、
いつもより早く教室に入った。
教室に入ると、待ってましたとばかりに、男の子たちがミミの周りに群がってきた。
その様子はさながら、お菓子に群がる蟻の様にも取れた。
ミミは用意して来た紙袋の中から、小さな包み紙を取り出し、彼らに配った。
そして、ミミは彼らにこれは義理チョコであると念を押した。
しかし人垣の為、ミミはいつもの様に教室の隅の席に居る光子郎の姿を見ることは出来なかった。
その日は、光子郎とは一言も話をしないまま昼休みとになった。
普段なら、宿題で分からないところがあった等、必ずと言っていい程、ミミから話し掛ける。
しかし、休み時間の度にチョコをせがみに来る男の子に囲まれ、ミミはそれどころではなかった。
ミミが廊下で、他のクラスの男の子にチョコを配っている時、自分のクラスのドアのところで数人の女の子に囲まれている光子郎の姿を見た。
しかし、周りが五月蝿く、彼らが何を言っているのか聞き取れなかった。
その時、光子郎が女の子の差し出したチョコを受け取るのが見えた。
ミミは居た堪れなくなり、一頻り配り終えると、その場を後にしてしまった。
その日はとうとう、光子郎とは一言も会話をせずに終わった。
まさか光子郎が他の女の子からチョコを受け取るとは思っても見なかったからだ。
ミミは、光子郎と仲がいい事から、他の女の子に相談されるなど、光子郎が女の子の人気がある事は知っていた。
しかし、光子郎の性格上、面識がある程度の関係では、チョコを受け取る事は無いと思っていたのだ。
一通りチョコを配り終えたミミは、教室に戻り、支度を済ませて帰ろうとしていた。
教室のドアを開けると、誰もいないと思っていた教室には、光子郎がいた。
振り返った光子郎に何か話し掛けようとしたが、気まずさが、それをさせず、ミミはそのまま自分の席へ行き、帰り支度を始めた。
その事が余計に教室を気まずい空間へと変えていった。
ミミはどうしようかと悩んでいた。
その手には、他の男の子たちに配ったチョコとは明らかに違うラッピングを施されたチョコが握られていた。
(渡すべきか・・・)
しかし、この思い空気の中では、それは無理だと判断したミミは、意を決して光子郎に近づいていった。
「それ、全部光子郎君が貰ったの?」
そこにはミミの予想を反する量のチョコが積んであった。
光子郎の性格上、断りきれずにすべてもらったのだろう。
「・・・はい」
光子郎は少し躊躇いがちに、間を空けて答えた。
「光子郎君ってモテルんだね」
光子郎がモテル事を素直に喜べないミミは、少し寂しそうに言った。
「そんなことないですよ」
光子郎は、そのチョコをカバンに詰めながら、ミミを見ようともせずに言った。
「そんな事ないよぉ。だって、ほらカバンに入りきらないくらい貰ってるじゃない」
カバンと悪戦苦闘する光子郎を見ると、それは普段見せない様子であり、
これらのチョコを渡した女の子達も知らない光子郎の姿で、それを唯一知る事にミミは喜びを感じ、嬉しそうに言った。
「・・・」
カバンに入れる事を諦めたのか、光子郎は何か代用できるものは無いか、辺りをキョロキョロし始めた。
その様子を見て、ミミはある事を思いついた。
自分の席へ戻ると、さっきまで悩んでいた包み紙を、チョコを入れてきた大きな紙袋の中に入れた。
「ねぇ、これ使う?」
そう言って、ミミはその紙袋をかざした翳した。
ミミは、チョコを渡す切っ掛けが欲しかったのだ。
光子郎は丁度袋を探している、これは絶好の機会だと思ったのだ。
しかし、ミミの考えとは裏腹に、光子郎はミミの申し出を断り、また代用物を探し出した
ミミはその間、ずっと光子郎の様子を見ていた。
しかし、代用物を探せない光子郎は、なかなかミミの申し出を受けようとはしなかった。
しかし、いくら探そうとも、使えそうなものは見つからなかった。
仕方なく、光子郎はミミの申し出を受ける事にした。
「すみませんミミさん、その紙袋を貸して頂けないでしょうか?」
その声は、いつもの光子郎とは明らかに違っていた。
ミミは光子郎のいつもとは違う様子と、いざチョコを渡す事への躊躇いから、少し間を置いて、黙ってその紙袋を差し出した。
光子郎はその紙袋を受け取ると、不思議そうな顔をしながら、それを開けた。
それから光子郎がチョコを取り出すと、じっと見詰めていた。
この間、ミミが緊張しながら光子郎の様子を見ていたのは言うまでも無い。
「・・・これは?」
光子郎はまだミミの気持ちを理解していないと、ミミは思った。
「・・・チョコ」
しかし、それ以上の気持ちは告げず、戸惑い気味に、気まずそうに俯いたまま答えた。
「それは分かりますが・・・」
光子郎も、何かを感ずいてるように見えた。
「だって、なかなか渡せるタイミング無かったんだもん」
しかし、ミミは自分の気持ちをはぐらかす様に言った。
「いえ、そう言うことはでなくて」
光子郎の声は少し慌てた感じがした。
「私の気持ちだもん」
ミミは漸く自分の気持ちを話す決心がついたが、小さな声で言った。
すると、光子郎は空になった紙袋にチョコを詰め、ミミに差し出した。
ミミは、光子郎が何をしているのか理解できず、その様子を不思議そうに見ていた。
「僕にはミミさんからのチョコで十分ですから」
光子郎は気恥ずかしそうに言ったが、ミミは光子郎の行動に怒りを覚えた。
「でも、その子達だって、光子郎の事を想って渡したんだよ!」
ミミにとって、光子郎の軽薄な行動を信じる事が出来なかった。
人一倍他人の事を気遣う光子郎が、他のこの気持ちを踏みにじったと思ったからだ。
「すっすいません・・・」
ミミの勢いに負け、光子郎は後ずさり気味に答えた。
「でも・・・」
そう言うと光子郎は手に持った紙袋に目をやった。
その仕草を見て、ミミは光子郎の行動は、不器用な光子郎にとっての、精一杯の表現なのだと気付いた。
「私は光子郎君の気持ちだけで十分だもん」
その事が嬉しかったのか、ミミはにっこりと微笑みかけた。
しかし、その笑顔に光子郎は真っ赤になってしまった。
「じゃ、じゃあ帰りましょうか?」
光子郎はそれを隠すように後ろを向き、ミミを促した。
ミミは、そんな光子郎に愛しさを感じ、またにっこりと笑って、光子郎の後に付いて行った。
暫くの間気まずい雰囲気があった二人は、久し振りに一緒に帰った。
紙袋の一番上に、ミミから貰ったチョコを入れ、二人並んで歩いていた。
確かにそこには、いつもとは違う空気が流れていた。
二人で歩いていると、ミミは光子郎の頭の位置がいつもと違う所にある事に気付いた。
「背、伸びたね」
それがなんだかくすぐったくなって、別れ際にそれだけ言うと、また微笑んで、自宅の方へ走って行ってしまった。
***
今回、無謀にも2部構成で書いてみました。
いやぁ、実際やってみると大変でしたね(汗)
単に、私の能力の問題かもしれないけど、二つも合わせて書くなんて・・・
もしかしたら矛盾してる所とかあるかもしれないけど、気にしないで下さい(涙)
ミミちゃんを初めて書いたけど、書きやすい!!
素直な子って、勝手に動いてくれるから楽だ。
これからチョコチョコ光ミミ書いていきたいなぁvv
管理人:夢萌
ブラウンザでお戻りください
side:Kosiroも読んでみる?
女の子
|
お絵かき掲示板
|
ナスカ
|
iPhone修理