賢君と付き合い出してもう結構経つ。
そんな私達に初めて訪れた大きな障害。
・・・賢君の受験だ。
賢君は頭が良いから有名私立を狙ってるらしい。
頭がいい彼氏がいるのは自慢でいいのだけれど、こう何ヶ月も会えないと思うと考え物だ。
付き合い始めた頃はあんなに頻繁に会っていたのに・・・。
「あ〜あ、会いたいなぁ」
♪〜
「うわぁっ」
夜、部屋でボーっとしていた私は、メールの受信音に驚いて椅子から落っこちてしまった。
「ビックリしたなぁ。ッたく誰よ?」
私は会えないもどかしさから最近は少しストレスが溜り気味だった。
PiPiPi
(あっ・・・)
メールは賢君からだった。
(嘘!?マジ!)
私は弾む気持ちを抑えながらメールを開いた。
(・・・)
「賢君のバカっ!!」
私は、何の罪も無い携帯をベッドに投げつけた。
「なんなのよ?私が毎日こんなにも思っているのに!」
賢君のメールは、この間の模試の結果が出て、この調子で行けば合格できるかも、という内容だった。
「結局、賢君の頭の中には受験しかないんだわ!」
私は無性に腹が立って返事をしなかった。
「おい京!」
翌朝、学校へ行く途中聴きなれた声に呼び止められた。
「何だ、大輔か」
振り返ると、そこには強張った表情の大輔が立っていた。
「何だじゃないだろ?」
「じゃあ何よ?」
「お前、昨日賢にメール返さなかっただろう?」
「なんで大輔が知ってるのよ?」
私は何故大輔がそんなことを知っているのかという疑問と、大きなお世話という怒りの入り混じった声で言った。
「賢がメールで言ってた」
「なぁんだ。大輔にもメールしてたんだ」
私は自分でも分からないが、何だか切ない気持ちになった。
「何だじゃないだろ?賢が心配してたぜ?」
「何で大輔にそんなこと言われなきゃいけないのよ?大きなお世話だわ!」
私は段々自分がどうしたいのか分からなくなってきた。
「大きなお世話って、だったら何でメール返さなかったんだよ?」
大輔は更に怒りを露にして言った。
「返したくなかったからよ?他に理由がある?」
私は遂に開き直ってしまった。
「てっテメェ・・・」
「じゃ、私学校に行くから」
大輔は何か言いたそうだったが、私はそう言ってその場を後にした。
この日は一日、代わる代わる、引っ切り無しにみんなからメールが入った。
みんなは私と賢君の心配をしてくれているんだって分かっていたけど、私はどうしても素直になることが出来なかった。
その夜、賢君からまたメールが来た。
今度は、何でメールを返してくれなかったのか?私がどこか具合が悪いのか?心配している、という内容だった。
でも、私はまた返事をしなかった・・・。
(私達、もうオシマイかな・・・)
自己嫌悪でベッドに蹲りながら私はそう思った。
そうしたら、何だか苦しくなって、涙を堪えずにはいられなかった。
私はそのまま泣き疲れて眠ってしまった。
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