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「俺たちは学校の勉強なんてしてないぜ」
「そう、そんな暇があったら、碁の勉強をしなくっちゃ」
期末試験
ヒカルが院生になって3ヶ月が経とうとしていたそんなある日のこと、
いつもと変わりない院生研修の日の朝、そんな中、一人浮かない顔をして入ってきた、ヒカルの姿があった。
「・・・おはよ・・・」
「どうしたんだよ、進藤。そんなくらい顔して」
普段のヒカルとは明らかに違う表情に、和谷が心配そうにヒカルの顔を覗き込む。
「実は・・・」
ヒカルは俯き加減のまま話し出した。
「実は、おれ、学校の勉強全然してなくって・・・」
「そんなの当たり前だよ」
ヒカルがまだ話している途中にも関わらず、和谷は話を遮って、当然のように話し出した。
「でも・・・今度のテストでまた点数が下がったら、院生辞めろって、お母さんが・・・」
ヒカルはますます俯きながら答えた。
「はぁ、何だそりゃ?」
和谷は呆れた様に言った。
「だから・・・和谷、勉強教えて!!」
さっきまで俯いていたヒカルは、まるで迷える子羊のように、和谷を真剣に見つめていた。
そのヒカルの目を見ると、和谷は嫌とは言えなかった。
「じゃあね、和谷、進藤。セイゼイガンバって!」
研修が終わった後、普段からは考えられない程の、暗い面持ちの和谷を見て、奈瀬はからかうように出て行った。
「ちぇっ。奈瀬の奴、人事だと思って・・・」
そう言う和谷の顔はさっきより暗さを増していた。
「・・・和谷ぁ、嫌ならいいんだよ?」
普段は絶対に見せない苦悩を浮かべる和谷の表情から、ヒカルは恐る恐る問い掛けた。
実は、研修の合間に、和谷はあまり成績が芳しくないという事を聞いたばかりだったのだ。
「大丈夫だって、中1の問題くらい! 」
そういう和谷の顔は、今さっきの事が嘘のように、厭に明るかった。
「でもぉ・・・伊角さんに教えてもらうから。伊角さんならきっと出来ると思うし・・・」
「いいって言ってるだろう!それ位、俺が教えてやる!!」
ヒカルの言う“伊角さん”と言う言葉が、和谷の中でどう処理されているのか・・・
和谷は、これもまた普段からは想像出来ない程の物凄い剣幕で、ヒカルの申し出を拒否した。
「さぁ、行くぞ!」
和谷に促されて、ヒカルは、和谷の気持ちなど知る由もなく、ただ黙って、いつものファーストフード店へ付いて行った。
「えぇっとぉ・・・ここのXがこうなって・・・?」
「ねぇ、和谷、本当は数学苦手なんじゃないの?」
真剣に悩む和谷の表情に一抹の不安を感じたヒカルは、恐る恐る尋ねてみた。
「えっ、そっ、そんな訳ないじゃないか!ただ・・・ちょっと忘れてるだけだ。今思い出しそうなんだ!!」
しかし、そう言う和谷の表情は強張っていて、ヒカルは心配で仕方がなかった。
と言うのは、和谷がこう言い出して早1時間経つからである。
「あれ?和谷と進藤じゃないか?」
聞きなれた声に二人は振り向くと、そこには、不思議そうに首を傾げている、伊角の姿があった。
「なっ何で伊角さんがこんなところに?」
和谷は何かまずいものを見るように尋ねた。 「いや、ちょっと師範と話してて遅くなって・・・小腹が空いたからここに寄ったら二人がいたんだよ」
伊角は和谷の表情に気付いているのかいないのか、平然と和谷の問いに答えた。
「丁度いい所に来てくれたよ、伊角さんv」
ヒカルは、和谷とは正反対に笑顔を浮かべて、伊角に飛びついた。
その様子を見ていた和谷は、ただ固まるばかりだった。
「いいか進藤、ここは・・・・」
それから、すっかり和谷はポジションを伊角に奪われ、不貞腐れながら空になったジュースを頬張っていた。
「ナルホド!伊角さんの教え方ってうまいね。おれにも解るもん!学校の先生のは全然解らなくって・・・伊角さんが先生だったら良かったのになぁ〜」
ヒカルは、ただ純真に感心しているだけなのだが、和谷にはそれが嫌で堪らなかった。
「いや、そんなことないよ」
尊敬の眼差しでヒカルに見られて、伊角は気恥ずかしそうに頬を少し赤らめた。
伊角が謙遜するのは、いつもの事だが、しかし、和谷にとってこの時ばかりは嫌味に聞こえて仕方が無かった。
(だから伊角さんに聞くのは嫌だったんだ・・・)
目の前の二人のやり取りを見ていると、和谷はだんだん居た堪れない気持ちになってきた。
ガタッ
突然、和谷は立ち上がるとすぐに荷物を持って、ヒカルたちに目もくれず、出て行ってしまった。
あまりにも突然の出来事に呆然としていたヒカルは、やっと事の重大さに気付いた。
伊角は、ただ和谷の後姿を見送っていた。
翌日、和谷が学校から帰ろうとすると、校門で何やらざわついていた。
数人の生徒が何かを囲っている様子だった。
いつもならば、真っ先に飛んで行く和谷だが、この日ばかりはそんな気持ちになれず、通り過ぎようとした。
その時、想像してもいない声が飛んできた。
「和谷!」
その声に振り返ると、制服姿のヒカルがいた。
「なっ・・・」
あまりにも突然の出来事に、和谷は声に詰まってしまった。
人の波を掻き分けながら、ヒカルは和谷に近づいていった。
「和谷・・・?」
キョトンとしたまま立ち尽くしている和谷を見て、ヒカルは覗き込むように尋ねた。
「どうしてこんなとこに進藤がいるんだよ!」
突然我に返った和谷は、あたふたしながら答えた。
「だって、昨日あんな別れかたしたから・・・」
その言葉に、和谷はまた黙ってしまった。
「ごめんね。和谷の気持ちも考えずに。おれ・・・」
ヒカルはしょんぼりとして言った。
よく見ると、ヒカルは走ってきたのか、少し汗ばんでいる様だった。
そんなヒカルを見ると、和谷はすっと肩の力が抜け、ヒカルの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「何するんだよぉ!」
ヒカルが頭を抑えながら起き上がると、和谷は何時もの笑顔に戻っていた。
「いや、何でもない。・・・そうだ、お詫びに何か奢ってもらおう!」
和谷は意地悪っぽい、でも優しい顔でヒカルに問い掛けた。
「何でおれが奢らなくっちゃいけないんだよ〜!」
ヒカルは怒っているのか嬉しいのか、曖昧な顔で、和谷をポカポカ叩いた。
「へへへ〜。進藤が叩いたって痛くないよーだ」
いつのまにか二人の周りには人垣もなくなっていた。
『おまけ』
「そう言えば進藤、さっき、お前どうして囲まれてたんだ?」
ファーストフード店に着き、一息つくと、和谷は思い出したように、ヒカルに尋ねた。
「・・・えっ?」
ジュースを飲んでいたヒカルは、突然の和谷の問いかけに、思わず咽てしまった。
「だっ大丈夫か、進藤?」
突然咳き込んでしまったヒカルを心配しながら、和谷は、背中を摩るのを口実にちゃっかりヒカルの隣に座った。「アリガトウ、和谷・・・」
落ち着きを取り戻したヒカルは、和谷に笑い掛けた。
しかし、その笑みはどこかよそよそしい感じだった。
(まさか言えないよなぁ、和谷が来るまで叫んでたなんて・・・・)
ヒカルは頬を染めながら、ただ笑って誤魔化すばかりだった。
***
ものすごぉ〜く遅れましたが、1528のキリリクです。
相変わらず仕事遅いっす、私・・・・・
でも、実はコレ、2時間くらいで書いてたり・・・
構成におもいっきり時間かけたら、結構スラスラ書けた。
ある意味、時間を掛けてじっくり作ることの大切さを知った、作品(?)でした。
そして、何だかんだ言って、和谷ヒカ書いたの初めてだったんです。
でも、意外に和谷が動いてくれて良かったですvv
さて、何故か友永からのリクだったこの駄文・・・
こんなんで良ければ熨斗付けて押し付けてやる!!
管理人:夢萌
* * * * *
ありがと〜夢萌☆
私の無茶なリクに答えてくれて。とっても嬉しいっスよ。
それに、和谷ヒカに伊角さんを登場させてくれて本当に感謝です。
思いっきり私の趣味でっスよね(汗)
ヒカルもとっても可愛いしv和谷はやっぱりヘタレだよね。
この組み合わせ大好きですvv本当にありがとう!
管理人:友永
ブラウンザでお戻りください
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