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氷帝学園では一週間に二単位、芸術科目の選択授業の時間がある。
科目は音楽・美術・書道の三つに分かれている。
そして、その時間は3クラス合同で行なわれる。
ある日、授業終了直前に、音楽選択の者達が集まる音楽室で、授業の終わる10分前に教師が言った。
「次回の音楽の授業は発表です。楽器を使ったり、歌での発表でも、どちらでも結構です。
曲目も自由で、グループでも個人でも構いません」
The tone of love
「お〜い、宍戸」
宍戸が音楽の授業の片づけをしていたら後ろから鈴木に呼ばれた。
「んあっ?何だよ」
「なぁ、お前は何にする?来週の発表」
「あぁ・・・・」
宍戸が少し困ったように右手で頭をポリポリと掻くと、佐藤が口を挟んできた。
「おい、何言ってんだよ!宍戸は跡部と組んで発表するに決まってんだろ」
何分かりきった事聞いてんだ?といった顔をした。
「はぁ?跡部と?」
だが、どうして跡部と組むのが当たり前なのか、初めに宍戸に声をかけた鈴木は分からなかった。
「あれ?もしかして、お前って今年からか?音楽選択したの?」
音楽を選択している人間なら誰でも知っている公知の事実を知らなかった事に驚き、佐藤は鈴木に問いかけた。
「あぁ。去年までは書道だったけど、最近ギターにハマリ出してよ。音楽に変えたんだ」
「そっか、ならしょうがねーな。宍戸と跡部は一年の時からずっとペアでやってきてんだよ」
なっ?と言いながら佐藤は宍戸の顔を見た。
「あぁ・・・別に景吾としかペアが組めないってわけじゃねーけどな・・・・・」
「へーそうなんだ。何やってんだ?」
何の楽器?と言いながら鈴木は宍戸に聞いた。
「俺がピアノで景吾がヴァイオリン」
「うわっ!マジで?すっげ〜!!!」
ってか、宍戸ってピアノ弾けんだ。いっが〜い!!すっげーな。と驚き、鈴木は宍戸の肩をバシバシと叩いた。
「イテッ、イテーッてよ。・・・・・俺、先に戻るから」
宍戸は後ろから自分を見ている視線に気付き、別のクラスである彼らに軽く別れを告げ去って行った。
その視線の送り主は、宍戸と同じく音楽を選択している跡部景吾だった。
「おう!じゃーな」
「明日な!!」
と軽く手を振り宍戸を見送った。
「・・・でもお前マジで知らねーのか?宍戸のピアノの腕前は有名だぜ?」
「だって俺、中等部からの転入組だぜ。それに宍戸と同じクラスになった事ねーし」
「なら知らなくても当然か・・・だけど、跡部と宍戸の演奏って息ピッタリでよ。評判良いんだぜ。
小学生の頃からよく二人で演奏してたし」
と過去を思い出しながら佐藤は跡部と宍戸の事を話していた。
「さっきあいつ等と何話してたんだ?」
「えっ?別に・・・ただ誰かと一緒にやるのかって聞かれただけだ」
「ふ〜ん」
跡部は自分から聞いたくせに興味無さそうに言った。
「今回の曲目はどうする?」
跡部は、さも当たり前のように、今回も宍戸と一緒に演奏するつもりで聞いた。
「えっ?」
それに対して宍戸は驚き、声をあげた。
「ア〜ン?何だその驚きは。俺と組むのが嫌なのか?」
「別に嫌ってわけじゃねーよ」
「ただ・・・お前が当たり前のように言うから・・・・」
顔を伏せ、だんだんと声が小さくなりながら言った。
その宍戸の言葉に対して跡部は少し呆れたように溜息を付き
「お前が俺と組むのは当前なんだよ。昔からずっとそう決まってんだよ」
バーカ。と偉そうに言った。
その答えに宍戸は嬉しくなったが、それを隠すように
「バカって何だよ。バカって!!」
と叫んだ。
宍戸は嬉しかったのだ。
毎回、自分と跡部はペアを組んでいるが、いつかそんな関係が壊れてしまうのではないかと不安でいっぱいだったのだ。
自分と違い跡部はとても人気がある。
それは、老若男女問わず・・・。
だからこんな捻くれた自分なんかとではなく、他の誰かに奪われてしまうのではないかと・・・。
だから、跡部が『お前が俺と組むのは当前なんだよ』と言った事が、本当に嬉しかったのだ。
放課後の部活も終わり、宍戸が帰り支度をしていると、すでに支度を終えた跡部が声を掛けた。
「おい、亮。これから俺の家に来い」
「ハァ?これからか?」
「あぁ。発表の練習をするぞ」
「そう・・だな、分かった」
そう答えると、宍戸はカバンを肩に掛け
「じゃーな、お疲れ」
「明日の朝練に遅刻すんなよ」
まだ部室に残っていた仲間に声を掛け、宍戸と跡部は部室を出た。
跡部邸に向かう途中、二人は今回発表する曲目を考えながら歩いた。
本当はいつものように跡部はベンツで帰ろうと家に連絡を入れようとしたのだが、
注目を浴びるのを嫌った宍戸はそれを反対した。
「なぁー、どうする?今回は」
「そうだな・・・・フランクのソナタ第四章ってのはどうだ?」
「ハァ〜?無理に決まってんだろ!!一週間しかねーんだぞ」
ヴァイオリンとピアノ、両方がこの曲をよく知り尽くし、
そしてお互いの息が合わなければ決して演奏しきる事の出来ない曲だ。
こんなにも難易度の高い曲目を一週間で出来るかと思い、宍戸は反対した。
「大丈夫に決まってんだろ?」
「何でそんな自信たっぷりに言えるんだよ・・・・」
宍戸は、跡部のどこからそんな自信が出て来るのか不思議に思ったが、
しかし逆らっても意味が無いと分かり、もう何も言わなかった。
半ば諦め気味に、ハァーと大きな溜息を吐き
「なら早く帰って練習しようぜ」
とだけ言った。
跡部邸に着くと、二人はピアノが置いて広い部屋に向かった。
部屋に入ると、跡部はルイ・ヴィトンのケースから自分専用のヴァイオリンを取り出した。
そして、二人は早速練習に取り掛かる事にした。
始めは二人の息が合わず、バラバラだったが次第に聞けるほどの曲にはなった。
元々二人は負けず嫌いな性格なので、練習は発表の当日まで行なわれた。
昼休みは音楽室で、そして放課後は跡部の家で、と。
発表の前日、いつもと同じように練習をしていた二人は少し休憩を取ろうと、
跡部邸に仕えるメイドさんが淹れてくれた紅茶を飲んでいた。
「明日の発表は完璧だな」
「そう・・だな・・・。でも本当にお前は無茶を言うよな。
俺、最近テニスよりピアノの方に力入れてたぜ」
「フンッ。何言ってやがる、出来て当然なんだよ」
「お前ってヤツは・・・・」
そして、前もこんな事言ったよなぁ。と疑問に思い、宍戸は跡部に問い掛けた。
「なぁー跡部。この前の帰りにも言ったけど『大丈夫に決まってんだろ?』
っていう自信は一体何処から沸くんだよ」 「あぁ?そんなの決まってんだろ。何年お前と組んでんだと思うんだ?出来て当然何だよ」
と答えた。
跡部はそっと宍戸に近づき、耳元で囁いた。
「
お前の事は誰よりも一番俺が知っている
」
その瞬間、宍戸は顔を真っ赤にさせ思わず顔を伏せてしまった。
その姿に満足した跡部はニヤッと意地の悪い笑みをして
「だからどれだけ難しいと言われる曲でも、俺とお前とでなら演奏出来んだよ」
と言った。
翌日の発表の時間。
演奏が二人の番になった時、辺りは一瞬にして静かになった。
宍戸は楽譜を片手に持ち、緊張した面持ちでピアノに向かった。
そんな宍戸の様子に気付いた跡部は、軽く宍戸の肩を叩いた。
宍戸が跡部の方に顔を向けると、跡部は普段見せる事があまりない、優しい目でふわっと笑った。
その瞬間、宍戸の緊張がほぐれ、笑顔になった。
宍戸と跡部は少しの間見つめ合い、ニッと笑うと、
軽く握った右手で、お互いの拳をコツンッと叩き定位置に着いた。
そして、宍戸が鍵盤に指を置くと跡部の方を向き、跡部も宍戸の方を見た。
そして、宍戸が跡部に目で合図を送り、演奏を始めた。
演奏の時折、お互いに顔を見ては微笑み合い、とても楽しそうに演奏していた。
二人の音は互いに重なり合い、二つの楽器で一つの音を作り出していった。
その、二つの楽器の放つ音符が重なり合った演奏は、聴く者全てを虜にさせるほどだった。
同じ音楽を選択している者たち。
噂を嗅ぎつけ聴きに来た、違う選択を選んでいる者たち。
それに、後輩や教師たちなど・・・・・。
二人の演奏に耳を傾け、静かに聴きいっていた。
***
奈都さまからの8500HITのリクエスト小説なんですが・・・・
それも『跡宍で幼馴染+甘い』だったはずですが・・・
何か違うような気がする・・・
御免なさい!!すっごく長く待たせたくせにこんな物しか出来なくて。
あぁ〜、何をどうしたら跡宍で幼馴染に見えるんでしょうかね?
それに、鈴木と佐藤って誰やねん!と思われると思いますがオリキャラです。
そして、音楽に対してそんなに詳しくもないのにこのような小説を書いてしまってすみません。
本当に申し訳ありませんでした!
返品・書き直し可ですので。
本当に御免なさい。
管理人:友永
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