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それから半年が経過した。
冬の寒い時期も通り越し、辺りは幾分暖かくなり始め、
道行く人の表情も、心なしか春めいて来たと言うのに・・・
いつもの喧嘩なら、二人の手助けにより、すぐに仲直りするのに、
今回ばかりは、“逢えない”事が、大分その溝を深く・大きくしてしまったらしい。
私達は、半年経った今でも、冬真っ盛りだった。
今までは、進学校に籍を置く賢君とは、週に1度会えるか会えないかだ。
それでなくても学校で忙しいのに、それに加えて家庭教師なんて、
並みの人間だったら、1週間と持たず、音をあげている頃だ。
しかし、そこが賢君の凄い所と言うか、呆れてしまう所と言うか、
数ヶ月経った今、完全に慣れ、
偶に掛かってくる電話では、授業の内容とか
生徒の様子−如何に“彼女”の出来がいいか−等を伝えるばかりだ。
勿論、私は一切電話には出ない。
掛かっては来るけど、出てたまるかって、変なプライドがそれを許してはくれない。
ヒカリちゃんと岳君から、そう言った近況を聞くのだけど、
と言っても、勝手に向こうが喋ってくるだけで、私は聞きたいなんて一言も・・・
「彼女って・・・生徒って女の子なの?」
私は思わず大声を張り上げてしまった。
こんなに大声を出したのは、あの日以来だろう。
「あっ!」
絶対電話なんか出てたまるかって思っていたのだけど、今家には誰もいなくて、
仕方無しに出た電話の相手は、幸いにもヒカリちゃんだった。
そして、聴きたくも無い賢君の近況を、“暇だから”聴いて挙げたという次第だ。
私の物凄い反応を聞いたヒカリちゃんは、何かマズイ事にでも気づいたような声を上げた。
「私、聞いてないよ女の子なんて・・・
何それ、じゃあこの数ヶ月間、賢君はその女の子とずっと二人きりで勉強に“勤しんでた”と言う事?」
「み、京さん落ち着いて」
ヒカリちゃんの声は明らかに動揺していた。
でも、それ以上に私も本音を隠せない程、理性なんて疾うに何処かに吹き飛んでいた。
落ち着いてって、落ち着いていられるものですか!
ただでさえ逢って貰えず、偶の近況もバイトの事ばかり。
賢君は私に愛想尽かしてしまったんだとばかり思っていたのに、
それに加え、新しいオンナの疑惑なんて。
信じられないというより、
絶望感に打ちひしがれた、そんな気分だ。
「もしもし、京さん!もしも・・・」
ヒカリちゃんが一生懸命受話器の向こうで私に話し掛けてくれていたが、
私はその返事が到底出来る訳でもなく、
そのまま力無く受話器を本来あるべき場所へと戻した。
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